2019年03月29日

東証改革がベンチャーに与える影響 〜市場構造の在り方等の検討への意見コメントを読んで〜

2018年10月ごろから紙面を賑わしていた、市場構造のあり方等の検討、いわゆる東証マーケット変革について、意見募集の結果が公表された。

当初紙面を賑わした頃は、東証1部の会社を減らして、市場を再編するという点が注目されていたが、公表された意見の中にはベンチャーに影響のあるものも非常に多く、今回簡単にまとめてみたいと思います。是非公開されている資料に目を通していただきたいですが、意見書だけでも40ページあるので、ベンチャー目線で気になったものをピックアップしてみます。


【市場からの退出に関する指摘事項】
所感:なにぶん投資家からの意見が主なので、企業側には厳しい意見が多いのも事実です。「もっと退出基準を厳しくすべき」という方向性が出ています。特に、新興市場は門戸が広い分より積極的な退出が必要との声が。。。多産多死型、確かにごもっともです。
 -「一般に基準を緩和させることは「質の低い」企業の上場を招く。そのことを踏まえて、東証として、(1)多産多死型:つまり多くの上場を許容し、その中で「質が低い」も のの退出を促す 、(2)少産少死型:選抜を行う代わりに退出は少なくする、のいず れを追求するのか明確にすべき:先行投資型企業は多産多死型で、ある程度の質の低 い企業が参入することを許容することになるため、参入機会は多く持つ一方でドライ に退出させる必要がある」
 -「マザーズにおいては、開示の充実や退出基準の厳格化により投資者保護を図るべき」
 -「退出基準を厳しくすることで、投資家がリスクを認識する「健全なマーケット」とすべき」
 -「上場後評価されない会社について、退出を促していくべき」
 -「エントリー市場への上場後、ステップアップの基準を充たさず、結果として成長性が 認められない場合には上場廃止とすることを明確にすべき」

  -「ベンチャー企業は3〜4年で勝負がつくので、10年ルールを厳格化することが適切 (例えば、5年など) 」

ステップアップ基準を今の東証1部への鞍替えと考えると、今は時価総額40億で鞍替えできますが、今後ステップアップ基準を揃えるべきという意見が出ているので、揃えられた前提だと時価総額250億がステップアップ基準になるかも。その場合、今のマザーズ上場企業で達成できてるのは、実は48社/全268社で20%にも満たないことになります(ただ、このデータには上場後の年数が分けられていなかったので、後日そこを区分して再集計してみようかと思います)。上場してすぐにというわけではなく、ベンチャーは上場5年でどこまで時価総額が伸ばせられるか、下にも書きます、上場時に示した中期成長戦略の進捗状況を見せながら説明して注目を浴び続ける必要があると思います。これは、IR・PR系の能力が一層CFO職には必要になってくるなぁという所感です。あとは、機関投資家とのコミュニケーション能力も。


スクリーンショット 2019-03-29 17.33.23.png

(参照:市場構造の在り方等の検討に係る意見募集(論点ペーパー)関連データ url:https://www.jpx.co.jp/equities/improvements/market-structure/nlsgeu000003pd3t-att/nlsgeu000003wfuh.pdf 

【ステップアップの現状に関する指摘事項】
・この意見からして、東証1部へのステップアップ基準は現行から比べて大きく厳しくなると予想される
 -「現在の市場第一部へのステップアップ基準は低すぎるため、ステップアップに関する 時価総額基準を段階的に引き上げることで、エントリー市場上場後の成長を動機付け ることが必要である」
 -「ステップアップの時価総額基準(40億円)については、基準を引き上げない限り、 企業価値向上のインセンティブが働かない」

【市場区分、ステップアップ構造の廃止】
・報道では、上下ヒエラルキー型の「プレミアムースタンダードーエントリー」という整理で語られているものもありましたが、むしろそうすべきでないという意見も数多くでていました。
 -「階層的に区分を設けることが、本当に上場会社のインセンティブになるのだろうか(市場区分は、ある程度リスク・リターン特性 が似通ったものをグルーピングして、並列して並べるということであれば意味がある が、サイズ別に縦列することに意味があるとは考えにくい)」
 -「「中小型株市場」については、あくまで「規模」による区分であり、企業の「質」が劣るもので はないという性格を明確にするため、「市場第二部」の区分は廃止すべき」

【新興企業向け市場のコンセプトに関する提案】
 -「様々な新興企業に門戸を開くため上場基準は緩やかなものであるべき」

 -「利益に関わらず、研究開発型の企業について上場機会を提供していくことは重要」
 -「赤字でもスケールする会社については、上場を認めるべき」
 -「マザーズ市場創設時のように、赤字の企業について積極的に受け入れるというスタンスをはっきり示すことが大事ではないか」
 -「新興企業のリスクの高さを考えれば、適切な情報開示が非常に重要であり、不適切な開示については厳しく対応する必要」

【支配株主について】
・新興企業の場合、創業者の持ち分比率が高いケースが多い。そのため、一定の牽制を求める声がある
 -「大株主基準(支配株主の有無)を導入すべき(例えば、いわゆる上場子会社(過半数を支配株主である親会社が保有)やオーナー企業(創業家ないし経営陣が過半数を保 有)については、一定の移行期間内(3~5年)後に支配株主の持ち分が3分の1以 下にならない場合は市場第二部へ指定替えになるという基準を設ける)」
 -「純資産10%以上に影響のある場合のマジョリティ・オブ・マイノリティ決議を義務付けるべき」


色々考えることも多いコメント群ですが、前提として残念だったのは発行体からのコメントが全般的に少ないんじゃないかなぁ(機関投資家からのコメント多いなぁ)とは思います。ただ、それ以上にVCが3社(JAFCO・GCP・エッジキャピタル)しかコメントしてないのが、より気になるのが今の思いです。



posted by future-is-based-on-the-past at 17:50 | Comment(0) | CFO | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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